王立学園の入学式。リディアーヌはゲームのヒロイン、フローラ・メイフィールド男爵令嬢を見つけた。蜂蜜色の髪に翡翠の瞳。ゲーム通りの可憐な少女だ。
本来のシナリオなら、ここでリディアーヌはフローラに冷たく当たり、「平民上がりが」と嘲笑するはず。だが──。
「はじめまして、フローラさん。遠い領地からの入学、大変だったでしょう?何かわからないことがあったら、いつでも頼ってくださいね」
フローラが目を丸くした。周囲の貴族たちも驚いている。公爵令嬢が男爵令嬢に親しく声をかけるなど、前例がない。リディアーヌは内心でほくそ笑んだ。悪役にならなければ、断罪もない。むしろヒロインを味方につければ、すべてのルートを有利に進められる。
ゲームの攻略対象たちの視線を感じながら、リディアーヌは新たな学園生活の第一手を打った。